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会議概要(H29年度)

平成29年度木材利用推進「全国会議」を開催しました

平成29年度木材利用推進「全国会議」―木の街づくりの推進に向けてーは、平成29年7月31日(月)13:00〜17:30、木材会館7階ホールにおいて、木材関係業界のほか、建築設計、住宅産業関連等幅広い業種の方々を含め、総計190名の参加者を得て盛会裏に終了しました。
  ここに関係各位の皆様に厚くお礼申し上げます。
  また、木材利用優良施設の表彰式においては、農林水産大臣賞、林野庁長官賞及び木材利用推進中央協議会会長賞の授与が行われました。

全国会議次第

〔概要〕
注:講演データは、このページで公表します。
木材利用推進中央協議会吉条会長挨拶  
 
来賓挨拶 国土交通省 住宅局住宅生産課
林野庁林政部 木材利用課長 玉 置 賢 氏
  木造住宅振興室長 武 井 利 行 氏


〔1〕 公共建築物・街づくり等木材利用推進の取組み
 (1)国の施策・取組み
  (1)木材需要の拡大について
 林 野 庁 林政部 木材利用課長 玉 置 賢  氏

〔発表項目〕
 公共建築物における木材利用の現況、公共建築物における木材の利用の促進に関する基本方針の変更概要、平成29年2月に公表した「公共建築物における木材利用優良事例集」の概要、木質バイオマスエネルギー利用(発電利用)の概要、木材輸出の現況、合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律の概要 等について報告。


〔発表データ〕


(参考:林野庁の「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」のページ
事例集はこの中にあります。)
http://www.rinya.maff.go.jp/j/riyou/koukyou/index.html




(2)公共建築物における木材活用の推進
国土交通省 大臣官房官庁営繕部整備課 木材利用推進室
室長  村 上 幸 司  氏

〔発表項目〕
 (1)国土交通省(官庁営繕)の役割
  ・官庁施設の整備
  ・官庁営繕部の役割
 (2)国土交通省(官庁営繕部)の取組
  ・率先的な木材の利用 と 木材を利用しやすい環境づくり
  ・各省庁の営繕計画の確認(木造意見の付与)
  ・木材利用に関する技術基準の整備と普及
  ・木造計画・設計基準(平成29年3月改定)
  ・公共建築木造工事標準仕様書(平成28年4月改定)
  ・官庁施設における木造耐火建築物の整備方針(平成25年3月)
  ・公共建築物を対象とした木材利用のためのガイドライン等
  ・木造事務庁舎の合理的な設計における留意事項(平成27年5月)
  ・「建築物等の利用に関する説明書」作成の手引き(H28.12)
  ・木材を利用した官庁施設の適正な保全に資する整備のための留意事項(H29.7)
 (3)官庁施設の木材利用の事例

〔発表データ〕


(参考:国土交通省の「官庁営繕における木材の利用の推進」のページ)
http://www.mlit.go.jp/gobuild/mokuzai_index.html



    (3) 木材を活用した学校施設づくりの促進
文部科学省 大臣官房文教施設企画部施設助成課 課長補佐 益 居 綾  氏

〔発表項目〕
 学校施設における木材利用の意義と効果、学校施設における木材利用の促進、公立学校施設整備における木材利用状況、これまでの取組、木材を活用した学校施設に関する講習会の実施(毎年、全国3か所で実施)、全国に広がる木の学校事例集(平成26年7月公表)、建築基準法の一部改正(木造校舎等の基準見直し)、木造3階建て校舎の手引の作成、木造校舎の構造設計標準(JIS A 3301)の改正及び技術資料の作成、木の学校づくり先導事業及び事例、木材利用に活用できる補助制度 等について報告。

〔発表データ〕


(参考:文部科学省の「学校施設における木材利用」のページ)
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyosei/mokuzai/1284978.htm


〔2〕木の街づくりへの取組み事例
  真庭市落合総合センター、京都市上京区総合庁舎など
講師 株式会社 東畑建築事務所 理事 設計統括 中 村 文 紀 氏

〔略歴等〕
1962年生まれ
1988年3月 神戸大学大学院工学研究科建築学専攻 修了
1988年 株式会社 東畑建築事務所 入社
1993年 BANK OF CHINA
1997年 明石市西部市民会館・西部図書館
1998年 菅原町地区第一種市街地再開発事業ジーニス大阪
1999年 大阪市浪速区役所・浪速保健センター,
ライオンズマンション 大阪スカイタワー
2001年 アース製薬研究棟
2002年 NSD本社ビル(現JA大阪センタービル)
2003年 洲本市五色町役場新庁舎
2004年 阿南警察署庁舎
2006年 タナベ経営本社ビル
2007年 京都府家庭支援総合センター・京都府東山警察署庁舎
京都府警察学校本館
2008年 真庭市役所 本庁舎
2010年 京都地方合同庁舎
2011年 明石駅前南地区第一種市街地再開発事業
2012年 上村工業 新中央研究所,NHK新京都放送会館,
京都市上京区総合庁舎,真庭市落合総合センター
2013年 堺市人権ふれあいセンター,真庭市役所前バス待合所
2014年 松江法務総合庁舎
2015年 坂出市新庁舎
2016年 京都府茶業研究所,山口県福祉総合相談支援センター,
唐津港湾合同庁舎,長門市庁舎
2017年 土岐市新庁舎(設計中)

〔講演要旨メモ〕
 真庭市落合総合センターは、昨年度の木材利用優良施設として、農林水産大臣賞を受賞した施設であり、市役所の分室としての機能や図書館、地域交流スペースなどを備えた公共施設。真庭市産の木材チップとペレットを主燃料とするバイオマス熱源システムにより、センターのゼロエネルギー化を実現。延床面積4,200uのうち木造部分は、3,000u未満として燃えしろ設計による準耐火構造。メインファサードには、210mm角の一般製材を4本束ねた列柱が連なっている。
 京都市上京区総合庁舎は、4つの「き・づかい」を目指し、(1)訪れるひと、働くひとなど、すべてのひとにやさしい「気遣い」の庁舎。(2)光や風といった自然の恵みを積極的に利用した地球にやさしい「気遣い」の庁舎。(3)1200年を超える歴史と文化が受け継がれる上京にふさわしい「気遣い」の庁舎。(4)内装だけではなく、家具や照明、受水槽にまで地域産木材をふんだんに活用した「木使い」の庁舎。
 京都府茶業研究所は2017年竣工予定で、CLTパネル落とし込み工法を採用している。
 山口県の長門市庁舎は、木造での設計段階。

(参考:株式会社 東畑建築事務所のホームのページ)
http://www.tohata.co.jp/


〔講演データ〕


 〔3〕中高層木造建築物の耐火及び新潟県糸魚川大火の教訓
講師 桜設計集団一級建築士事務所 代表 安 井 昇 氏
 
〔略歴等〕
1968年 京都市生まれ
1987年 京都教育大学教育学部付属高等学校卒業
1991年 東京理科大学理工学部建築学科卒業
1993年 東京理科大学理工学研究科建築学専攻(修士)修了
積水ハウス株式会社入社
1998年 積水ハウス株式会社退職
1999年 桜設計集団一級建築士事務所開設(東京都知事登録 第44777号)
2004年 早稲田大学理工学研究科建設学専攻(博士)修了
2004年〜早稲田大学理工学研究所研究員(長谷見雄二研究室所属)
2005年〜 岐阜県立森林文化アカデミー非常勤講師
2006年〜 東京都市大学非常勤講師
2007年〜 NPO木の建築フォラム理事
2011年〜 NPO法人 Team Timberize 副理事長

   主な受賞歴
 2004年 木の建築フォラム 木の建築賞大賞(共同受賞)
「京都西陣の町家再生〜西陣蘖の家〜とその構造・防火・温熱環境性能の検証」

2007年 日本建築学会奨励賞「柱圧縮試験による木造土壁の火災加熱時の非損傷性予測と木造土壁外壁の防火設計」

2013年 「奈良の木」デザインコンペ優秀賞
谷中の町家〜吉野杉による木造準耐火建築物〜

2016年 ウッドデザイン賞 林野庁長官賞  堀切の家
 
〔講演要旨メモ〕
 15年間早稲田大学の長谷見研究室で、耐火の研究をしてきたこと、桜設計集団は、燃やして壊す(実験・技術開発する)設計事務所で、意匠・構造・防火設計を行っていること、山の丸太が大きくなって、無地の材料が豊富に生産されるようになり、高く売れる部分を使うことがポイントになること、2010年に青山で街を木造化するとどうなるか、NPO法人team Timberizeでイメージ展示や講演会を開催したことなどを紹介。
 木造耐火構造とする手法には、(1)被覆型(木材を石膏ボードなどで耐火被覆し、燃焼、炭化しないようにする)、(2)燃え止まり型(加熱中は燃えしろが燃焼、加熱終了後、燃え止まり層で燃焼を停止させる)(3)鉄骨内蔵型(加熱中は燃えしろが燃焼、加熱終了後、燃えしろ木材が鉄骨の影響で燃焼停止する)があるが、木造耐火建築物のほとんどは「被覆型」である。
 2016年12月22日に発生した糸魚川大火は、強風下で147棟に延焼した後、翌日鎮火した。糸魚川では80年振りの大火で、延焼遮断に貢献したのは準耐火建築物、耐火建築物、土蔵造で、準防火地域に必要なのは燃えにくい建物であり、木造でも可能である。
(1)構造躯体:燃え抜けない、燃えて壊れないこと、(2)内装:燃えない、燃え拡がらないこと、(3)収納可燃物:燃えない、燃え拡がらないことが重要である。
 容易に燃え抜けないまちなかの木造の例として、谷中の町屋(吉野スギを使った木造準耐火3階建て建築物)と堀切の家(吉野スギを使った2階建て耐火構造建築物)の事例を紹介。
 厚さ30mmと厚さ24mmのスギ板を貼り合わせて厚さ54mmの壁を作り、この厚板を燃やしたときに、燃え抜けるのにどのくらい時間がかかるか実験を行った。この実験では隣の家、隣の部屋が火事になったことを想定して、壁の向こう側を燃やした。木材の着火温度は240度なので、10分がたち、向こう側はすごい勢いで燃えているが、こちら側には何の変化も見られない。
 15分後、向こう側は800度とさらに熱くなったが、こちら側の見た目は何も変わらない。両者を隔てているのは、厚さ5.4cmのスギ板であるが、こちら側はまったく温度は上がっていないので、壁に人が近づくことができる。それくらい木材の熱伝導率は低い。
 木は燃えると表面に炭化層を作るが、炭化層というのは空洞の状態になっているので断熱材と同じ働きをする。木はゆっくり燃え、燃えながら断熱層を作っていくので、なかなか燃え抜けない。また、天井を不燃化することで燃え広がりを遅くできる。
 木造三階建て学校の3回にわたる実大火災実験の結果により、多くのデータが蓄積され、木造の3階建て学校の建築が可能となった。構造材のように燃えて欲しくないところは、耐火被覆して使うようにすれば火災に弱い建物にはならない。最後に木造耐火建築物の複数の事例を紹介し、木材は厚く、太く使う!こと 現代版の“火”と“木”の良い関係を作ることが重要である。

〔講演データ〕


(参考:桜設計集団一級建築士事務所のホームのページ)
http://www.teamsakura.jp/top.html



推進活動宣言


木材利用優良施設の表彰式概要